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表計算ソフト今昔(2020年6月)

我々は今や表計算ソフト無しの生活は考えられないほどにExcelに代表される表計算ソフトのお世話になっています。しかしながら実際には過去コンピューターの無かった時代には世界中、手計算でいろんな計算をこなしていたことも事実です。

日本では昔から中国伝来の「そろばん」があり、表計算ソフトが開発されたアメリカほど手計算の煩わしさから何とか解決したいという切実な願望がなかったという事情もあります。
私も最初に表計算ソフトに触れたのは1983年ころ、Lotus123というソフトの体験からでした。既に電卓はあったものの大きな表のタテヨコ計算が何の間違いもなく一瞬でピタッと計算結果がでることに感激したことを覚えています。しかもセルのどの部分の数字を変更しても自動再計算機能により瞬時に新しい結果がでるわけです。

表計算ソフトも初期のものは罫線もなく利用できる関数も少ないものでした。図1に当時の初期画面を示します。
VisiCalc画面 図1(画面はVisiCalcのもの)
さらにご覧のように白黒画面でした。下の図2は取説とソフト起動用の5インチフロッピーディスクです。当時のパソコンのOSはMS-DOSという文字ベースのもので、フロッピーディスクを挿入したあとコマンドをタイプ入力する必要がありました。現在はWindowsのアイコンをダブルクリックするだけですね。

取説とソフト起動用の5インチフロッピーディスク 図2 取説とフロッピーディスク
取説はIBMがパソコンに参入した時に倣ってリングバインダ形式になっており、たびたび発生する改定のたびに送られてくる追加資料を所定のページに挿入する必要があり煩わしいものでした。


少し取説に沿ってLotus123の内容を見ていきます。

  • *文字について、この初期のバージョンは日本語などのいわゆる2バイト文字は使えず半角英数記号だけでした。また罫線枠線もありません。
  • *式について、セルへの式の入力はExcelと異なり「@」マークで始まるものです。Excelは「=」ですね。
  • *関数について、全体で使用できる関数は90種類程度と少ないものでした。代表的なSUM関数もあり@SUM(list)の形でした。Date関数もあり、@Date(year,month,day)となっていました。シリアル値も現在と同じ1900年1月1日を1とするものです。
  • *グラフ機能、棒線や折れ線グラフなど簡単な表示は可能でした。
    その他意外なことにはマクロも使用できましたが、当時はマクロそのものが理解できず未使用でした。
  • *セル範囲について、Excelでは(A2:E5)とするところLotus123では(A2..E5)となります。

このように何かと現在のやり方と異なります。しかしご存じでしょうか、Excelにも旧来Lotus123流の入力も詳細設定を変えることで使えるようにはなっています。ではなぜマイクロソフトがLotusユーザーに配慮したような入力方式をわざわざ可能としているのでしょうか。これはLotus123が過去それほどまでに 世界標準の表計算ソフトであった証だからです。マイクロソフトもDOSの時代はマルチプランという表計算ソフトを販売していましたがLotus社には全く歯が立たず遠い2位に甘んじていました。しかしWindowsの時代にようやくExcelと名前を変えて逆転した経緯があるためです。興味のある方はLotus方式を試してみてはいかがでしょうか。

by Kentsan


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