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《本の紹介》その1: ビル・ゲイツ著作(2022年6月)

ビル・ゲイツ  今回と次回は最近読んだ2冊の本の紹介となります。 2冊とはグローバル著名人ビル・ゲイツとイーロン・マスクについてです。特にイーロン・マスクは最近のTwitter社買収でTVへの顔出しが多くなり有名ですが一度に両方は長くなってしまうので今回はビル・ゲイツの著作とし、次回にイーロン・マスクとします。

 §ビル・ゲイツ著「地球の未来のため僕が決断したこと」早川書房
「地球の未来のため僕が決断したこと」  ビル・ゲイツについては皆さんご存知で説明不要かもしれませんが、最近はマイクロソフトとは別の社会活動がライフワークとなっており(ビル&メリンダ・ゲイツ財団)その一つの大きなテーマが本書の地球温暖化からいかに人類・地球を守るかという壮大なテーマとなっています。

 カーボンニュートラルについても改めて言うまでもなく日本でも問題意識が高まりつつあるのはご存じの通りです。冒頭気候変動について必ず知っておかなければならない数字として510億トンと0があるといいます。前者は現状年間温室効果ガスの排出量(トンtn)で、後者は最終人類が目指すべき温室効果ガス排出量(ゼロtn)です。 まず「2050年までに排出量ゼロを達成しなければならない」という究極の目標提示とその理由が述べられています。3割減、5割減だけではダメなのだという説明があります。
 最近テレビで注目されるのは車のEV化ですが全体からみれば車だけではほんの7%に過ぎず、ごく一部としています。
 ここでセクター別に温暖化ガス排出量の全体像を見ておきます。
 全工業生産31%、全発電27%、全農林など19%、全移動16%、全冷暖房7%となります。ゼロということはこの全てのセクターでゼロを達成しなければならず、技術イノベーションによる代替技術の開発と低価格化が不可欠といえます。なかでも全生産にカウントされる「鉄鋼とセメント」は究極のハードルといわれており、今のところ解決策はなく今後の技術イノベーション頼みとなっています。また牛の出す「げっぷ」によるメタンガスや農林業に不可欠な肥料生産過程で出るCO2 と肥料使用時地中から出る亜酸化窒素による温暖化効果を避ける方法はなく問題です。「メタンと亜酸化窒素」はCO2と比べて数十倍の温室効果があると言われており、見落とされがちな盲点です。

 本書ではこのように技術イノベーションへの投資が目標達成にいかに重要かが説明されると同時にハードルの高さが細かく説明されています。そして最終章第12章ではどのように難問解決に結びつけるかを示しているが、残念ながら上記のように技術的難問は今後の努力に任せざるを得ない内容となっています。
 以上述べられたように我々の感覚では地球温暖化対策といえばとかく太陽光発電/風力発電/電気自動車(EV)の3点セットで何とかなると思いがちですが、そうではない様々な課題をクリアしていく認識と覚悟をせまる内容となっています。地球環境・気候問題に関心のある方是非読んでみてはいかがでしょうか。参考に京都市図書館で借りることができます。

By Kentsan


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